オンラインで販売されている偽造品に対して、警告や販売中止の請求をすすめて暫くたつと、商標がはっきりと表示された「堂々とした偽物」の商品画像はだいぶ減ってきます。
ところが、商標の部分を加工した商品画像が使われるようになったり、商標を隠した出品がどっと増えてきます。
そうすると、こちらとしては不正競争防止法(商品形態模倣行為や周知表示混同惹起行為)で出品者に警告したり、試買して実際の商品にロゴが付いているかどうか確認したりということになります。
さらにすすんで、最近では、侵害品のオンライン通販に、弊社のカタログ画像(弊社の著作物)が無断使用される事例が出てきました。また、並行輸入品やリパッケージ品にも本物の画像が使われることもあります。
そこで当社では、このような事例では、著作権に基づく差止請求や損害賠償請求も行っています。
ところが、商品画像には著作権が生じないという見解もあります。(刑事事件では、そういう解釈でよいかもしれません。)しかし、商取引の実務や民事の裁判例(追記参照)では、著作物の創造性の要件を広く解する傾向にあります。著作権者としては、ごく普通のブツ撮り画像であっても著作物として権利主張しても、まず大きく空振りする可能性は低いでしょう。損害賠償はともかく,少なくとも画像削除などの差止請求は認められるでしょう。
また、ブツ撮り写真が著作物であるとした場合は、その転載や複製が適法な使用(引用等)に当たるかどうかという問題もあります。さらに、米国など国外の著作権法の解釈ですと、いわゆるフェアユースとの関係も問題になってきます。
例えば、本物の商品を売るために、メーカーが用意した商品画像を無断で使ってよいかというと、いろんな見解が出てきそうです。ところが、ニセモノを売るためにメーカーの商品画像を無断で使用してよいかというと、著作権の問題だけでなく、不正競争防止法や場合によっては景表法の観点からも問題となりえます。