ところが、侵害品の報告は、それぞれの法域の商標権に応じたマーケットプレイスに対して(EUTMならEUマーケットプレイスの侵害品の出品について)行う必要があります。しかし、これが文書化されたルールかというと怪しくて、当社のUSのブランド登録アカウントを使って、EUTMに基づいて、USマーケットプレイスで販売されている侵害品の出品(ASIN)の削除請求が、たまに認められることがあります。
最初は、出品者や販売対象にEUの法域が含まれていれば、請求を認めるのかと思ったのですが、どうやらそうでもなさそうです。Amazonの担当者によって、USPTO登録の商標に限ると言う場合もあれば、そうではなく、アマゾンにブランド登録した他法域の商標権で足りるとする場合もあり、侵害品の申告の取り扱いに差があるのです。
特に、米国 amazon.com は世界中のセラーが世界中の消費者を対象に商品を販売していますから、米国商標を侵害報告の必須要件としていては、偽物を売っている連中にとっては、なんとも平和な世界ですし、消費者にとっては、恐ろしく危険なマーケットということになりかねません。
eBay でも同様のブランド登録制度 (VeRO) があるのですが、商品流通の実態があれば、よほどマイナーな法域の商標でないかぎり、登録が可能です。しかし、アマゾンと違って、登録済みのブランドオーナーは、どの法域のマーケットプレイスの出品でも、出品削除の請求ができます。(以前、ヨーロッパ各国とオーストラリアの eBay は、当該国で有効な商標権がないと門前払いだったことがあるようですが、現在は改められています。)違う法域で登録された同じブランドの商標権の優劣問題なども起こりうるかと思いますが、おそらく解決するルールがあるのでしょう。
米国アマゾンの法務部に、「国外の商標権があれば、米国商標がなくても、登録済みのブランドオーナーからの侵害品の削除請求に対応してほしい」とお願いしたのですが、どうやらムリのようです。(Brand Registry のサポート担当から、法務部にエスカレーションしてもらいました。何日かたってから、ダメとの回答。)商標権の効力の問題というよりは、消費者保護の観点から、このような請求を認めるように、出品規約を改める必要があるように思います。
インターネット時代の越境通販にうまく対応した eBay の知財対策と違って、オンライン通販のトップだというのに、アマゾンは、まだまだ時代遅れの感じがします。
0 件のコメント:
コメントを投稿